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刑場見学さえ困難(日弁連の資料から)

資料8抜粋

日本の死刑の執行は全く公開されていないだけでなく、死刑の執行とは無関係の時に刑場を見ることさえ困難です。日本弁護士連合会第47回人権擁護大会シンポジウム第3分科会実行委員会が発行した「21世紀日本に死刑は必要か-死刑執行停止法の制度と死刑制度の未来をめぐって-2004年10月7日 於・ワールドコンベンションセンターサミット(宮崎市) 基調報告書」の148頁には以下のような記述があります。

《引用開始》

第5 弁護士会の試み

1 刑場視察の申し入れ

日弁連は、2003年8月27日、法務大臣に対し、死刑場視察の申入れをし、日弁連による東京拘置所内の視察を許可するよう求めるとともに、全国の弁護士会から各地拘置所内の死刑場の視察の要求があったときはこれを許可するよう善処を申し入れた。これを受け、2003年から2004年にかけて、複数の弁護士会及び弁護士会連合会から、法務大臣、拘置所長ないし拘置支所長に対し、死刑場視察の申入れがなされ、所属弁護士に対し拘置所内の死刑場の視察を許可するよう求めた。これらの申入れは、国民が、死刑の存廃を含む死刑制度のあり方を検討し、執行が適正な手続で行われているか検証するため、また、弁護士が、弁護士法第1条に基づき法律制度たる現行死刑制度の改善に努力すべき義務を果たすため、最も基礎的な情報である死刑場の施設等について視察することが必要不可欠であること等を理由とするものであった。

ところが、法務省矯正局長及び各拘置所長は、「申入れのあった死刑場視察の件については、応じかねますので、あしからずご了承願います。」などとして、すべての申入れを拒否した。

法務当局は、刑務所や拘置所の施設中、刑場のみは特別の場所であって、公開についても特別に扱うとの考えであることがうかがわれるが*1、その法的根拠は疑わしい。

*1 たとえば、1997年5月13日、死刑廃止を推進する議員連盟の8人の国会議員が松浦功法務大臣に申入れをした際、あわせて刑場視察についても申入れたが、立ち会った刑事局長は、見られて困るというわけではなく、また、国政調査権による調査の申入れということであれば検討しなければならないが、伝統的に刑場視察は拒否している、拘置所建替え問題に関連して、現在の東京拘置所の庁舎を是非視察していただきたいが、刑場は別問題である旨述べたという。

《引用終了》

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